経営相談ワンポイントアドバイス 銀行返済の利息より税金の延滞税の方が高利率なので、税金の支払いを優先する。

■現状

歯科医師からの相談。
先生は60才。奥様とは離婚し、ご子息は一人で歯科医として一緒に働いている。別会社を経営している兄とは、2ヶ所の不動産の件で複雑な関係にある。
不動産の一つは渋谷にある住居用の物件で、二世帯住宅になっており兄夫婦と一緒に住んでいる。もう一つの物件は春日部にあり兄が会社と従業員の寮として使っている。この建物を建てるために銀行から先生が1億円を借り入れ、兄とそれぞれ月に25万円を返済している。
渋谷の物件は、親からの遺産で20年前に取得、兄との所有比率は土地が半分、建物はゼロ。兄へ払うべき家賃は春日部の家賃と相殺ということになっているが、契約書は作っていない。
税金を2015年から2,000万円延滞しており、消費税や区民税の延滞も別にある。
メインバンクから3年前に1億円借りており、毎月100万円程を返済していたが、返済が苦しくなり銀行に交渉し来年3月まで60万円に減額してもらっている。
売上は6,000万円で利益は1,500万円、そこから税金400万円を払い、借入返済をする余裕のない生活を送っている。

■相談点

医院を継続していくためには銀行への支払いと税金の支払いをどのようにしていけば良いか? 不動産はどうすればよいか? 教えて欲しい。

■アドバイス

・相続税対策として渋谷の土地の権利分は息子さんに譲渡した方が良い。
・春日部の土地・建物について、返済を先生と兄がそれぞれ払っている状況だと借入返済が完了した後に求償権に基づいて兄は払った5,000万円を先生に請求できる。あるいは、相続人がそれを行う可能性がある。そうなると、今住んでいる渋谷の家を立ち退かなければならなくなる可能性がある。それを防ぐために賃借契約書を作って権利関係などをはっきりさせる必要がある。
・銀行返済の利息より税金の延滞税の方が高利率なので、税金の支払いを優先する。そのために“認定支援機関による経営改善計画策定支援事業”を活用して事業計画を作り、銀行に交渉し返済を遅らせ、支払いのための資金を作る。

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