2022年増加傾向!借りた資金が返せない? 飲食業の今後の対策と出口戦略セミナー ~飲食業編~

1. 現在の自店をいかに繁栄店にするか? その方法は?

(1) 何のために自分は飲食業をやるのかを再度考える
(2) 店の売るべき商品は何かを決める
(3) 利益を出すための売上と経費と利益の枠組みを決める
(4) 店のコンセプトに合わせて客単価と客数を決める
(5) 飲料と料理とで利益配分を決める
(6) 最良のオペレーションを考える

2. 廃業するとしたら、銀行の借金は、リース会社は、
 店舗の原状回復資金は、仕入の未払金は、滞納税金はどうする?

3. 自店は売れるの? その仕組みは?

(1) 現実的には小さな店は売れない。売れたとしても少額
(2) 最善の売り方は「繫栄店」を売ること

4. 新しい店を作って出直しは可能?

(1) 現在、個人店で経営をしている場合の出直し方法
(2) 現在、会社として経営をしている場合の出直し方法

コロナ禍で世界中の飲食店が存亡の危機に瀕している。例え一時的な政府による補助金があったとしても根本的に解決できるようなものではない。
現状においては、多くの方々がなんとなく「このまま続けても駄目かもしれない!」と考えている。しかし、経営者としては廃業するにも継続するにも「しっかりとした根拠が必要」
その根拠をどのように考えたら良いかを解説する。大切なことは「考えることの順番を間違えないこと」である。

1. 現在の自店をいかに繁栄店にするか? その方法は?

(1) 何のために自分は飲食業をやるのかを再度考える
現在、飲食店を経営している人の開業動機はいくつかある。

 ① 料理を作ることが好きだから
 ② 家業だから
 ③ 儲かりそうだから
 ④ 長く飲食店で働いてきたから独立したい
 ⑤ 場所があるから

等が多い。

日本の飲食店の平均的な営業利益率は10%に満たない。つまり、よほど飲食店が好きか、利益が少なくても経営する他の理由がないと長くは続かない業種なのである。勿論、数百店舗を経営する規模になると構造そのものが異なってくる。
現在の自身の年齢によっても異なるが、今一度「飲食店を経営している本当の理由」を考えてみるのが第一歩である。

(2) 店の売るべき商品は何かを決める
大衆食堂から専門店まで業態は広い。業態別にその目的がある。ここが“あやふや”だとお客様に「訴える力」が弱い。

「売るべき商品」とは、

● 料理(専門店)
● 内装や雰囲気(ホテル内や特定施設)
● 安いか高いかの価格(大衆か、高級か)
● 接客(家庭的接客、高級店接客、マニュアル接客 等)
● 人通りの多い利便性(駅ナカ店、交通量の多い路面店、駅前店 等)

これらの選択で大切なことは「あれもこれもと欲張らないで絞ること」。店側が明確に主張しないとお客様にも明確に伝わらない。

(3) 利益を出すための売上と経費と利益の枠組みを決める
飲食店経営者の多くが理論的経営方法を学んでいない。つまり、素人経営者が圧倒的に多い。現在の自店の経営を財務的に再度、見直す必要がある。手順としては、

① 銀行等からの借入金の返済金を含め、資本の回収期間を3年~7年以内として必要な当期純利益額を計算する。
② ①から算出された金額を元に必要な営業利益を計算する。飲食業の平均的な経営利益率は、売上の3%~10%程度。
③ 販売管理費総額を支払うのに必要な売上総利益額を計算する。
④ 必要な売上総利益を確保するために必要な売上額を計算する。

※ 飲食業において計算指数の一つに「FLコスト」がある。(F)は原価率、(L)は人件費率。FLコストは60%が上限。平均値としては仕入率35%、人件費率25%、合計60%。しかし、これは平均値なので業態によって多少異なる。

(4) 店のコンセプトに合わせて客単価と客数を決める
第一に店のコンセプト(お客様に自店の魅力と買ってもらえる商品)を決める。次にそのコンセプトの価値に見合った客単価を決める。ここがぶれると店の「ファン」を作ることができないので「コンセプト ⇒ 客単価」が重要なのである。

(5) 飲料と料理とで利益配分を決める
戦略として「飲み物と料理」で利益配分を明確にする。原価率とは飲み物と料理を合計したものの比率。

≪戦略≫
● 飲み物で売上総利益の60%を確保。
● 料理で売上総利益の40%を確保。
※業態によっては逆の場合もある

≪売上総利益の高い順≫

【飲み物の部】
① サワードリンク
② ウィスキードリンク
③ 焼酎ドリンク
④ 日本酒
⑤ ワイン

【料理の部】
① 粉物
② 野菜
③ 鳥料理
④ 豚肉料理
⑤ 牛肉料理
※ 珍しい食材を使った料理や手の込んだ料理は、価格を高く設定できる。

(6) 最良のオペレーションを考える
現在も今後も「人手不足」は絶対的課題。如何に人手を少なくして業務をこなすかが重要。そのためには、

● 調理器具の活用
● 調理場、ホールを含めて最小限で済む人の動き方の工夫
● お客様の多い時間帯に従業員を集中させる

2. 廃業するとしたら、銀行の借金は、リース会社は、店舗の原状回復資金は、仕入の未払金は、滞納税金はどうする?

(1) 銀行の借金は?
銀行からの借入金の形は大別すると3通り。

① 日本政策金融公庫
② 保証協会の保証付き借入金
③ 銀行単独での借入金

廃業した段階で銀行への返済が完済できない場合

 ● ①の場合は長期の分割返済。
 ● 保証協会が代位弁済した分は保証協会へ長期の分割返済。
 ● 銀行が企業への銀行が持つ貸付金を「サービサー」へ債権譲渡した場合は、会社、
 個人、保証人がサービサーへの短期的な分割返済か一定額を支払って和解となる。

(2) リース料金の残金は?

 ● 契約残存期間の未払金を返済か一定額を支払って和解による解決。
 ● 中古品の買取り業者に入ってもらって定額で和解。

(3) 店舗の原状回復資金は?
会社や個人に余剰資金があれば支払う。無ければ、現実は預け入れしている保証金や敷金で終わる場合も多い。原状回復工事代金は一坪当り5万円~15万円程度が多い。

(4) 仕入の未払金は?
資金があれば完済、無ければある資金の範囲内というのが現実。

(5) 滞納税金は?
最優先で支払う。

3. 自店は売れるの? その仕組みは?

(1) 現実的には小さな店は売れない。売れたとしても少額
売れる条件とは?

 ● 非常に場所が良い。
 ● 老舗でお客様が大勢ついている。


この2つのみ。現実的には、ほとんど売れない。
売れる物とは何?

 ● 造作設備(リース契約でないもの)⇒ 簿価の10分の1以下
 ● のれん ⇒ 需要と供給の相対関係度合いによる。

(2) 最善の売り方は「繫栄店」を売ること

 ● お客様がついていない店は99%売れない。場所が良ければ別。
 ● 買う側は「投下資本が5年以内に回収可能」が一つの目安。

4. 新しい店を作って出直しは可能?

(1) 現在、個人店で経営をしている場合の出直し方法

 ● 廃業の原因をしっかりと分析して突き止める。
 ● 飲食店経営の勉強をしっかりとする。
 ● 事業計画書を飲食店経営の専門家と作り上げる。
 ● 自己資金を一定額作る。各種制度融資を活用する。
 ● 開始3年間は飲食店経営の専門家の指導を継続する。

(2) 現在、会社として経営をしている場合の出直し方法

 ● 上記の個人店と同様なことを行う。
 ● 銀行借入残、リース債務処理等について専門家の指導を受ける。
 ● 現在の会社を存続させるのか、精算して新しい会社で再開するのかを検討する。

■まとめ

 ● 日本国内の飲食店は、開業後3年以内には半分が閉鎖している。
 十分な飲食店経営の知識を持たずに始める場合が大多数である。
 ● 飲食店の営業利益率は5%~10%程度。
 自己資本が十分でない場合は、開始後3ヶ年維持することは困難。
 ● 法人経営にしても素人経営に近いので、
 飲食店経営の専門家と伴走することが必須。
 ● 現在、コロナ禍では一時撤退という形で廃業することは賢い選択の一つである。
 2025年からリベンジ消費が起こる。
 日本人は群れる国民なので飲食業が廃れることはない。

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