■現状
業種:不動産賃貸業(テナントビル経営)
土地所有者:A氏個人
建物所有者及び運営会社:S法人
不動産時価(土地と建物):4億円
家賃収入:5,000万円/年
テナント数:大小合わせて10社
S法人の借入金残:B銀行2.5億円
S法人のテナントからの保証金:
D社:2億円(退去済)②E社:5,000万円(退去済)③その他:2,000万円
A氏及びS法人の不動産についている抵当権(共同担保):
1番抵当 B銀行 根抵当 4.5億円
2番抵当 D社 普通抵当 2.8億円
3番抵当 D社 普通抵当 3,000万円
消費税、源泉税の滞納金:400万円
S法人からA氏への賃料支払い:1,200万円/年
メインのテナント2社が退去した。しかし、退去時に預かり保証金2.5億円(D社:2億円、E社:5,000万円)を資金不足のために支払えなかった。現在は毎月D社へ50万円を分割返済(E社には支払っていない)している。しかし、残金はほとんど残っていない。
B銀行からの借入金は現在、元利込みで毎月100万円を返済している。
■相談点
経営者は、建物と土地を手放しても構わないと言っている。息子が心配なので、今後の生活に支障を来たさないようにする方法はないか?
■アドバイス
D社の債務2億円を一括払い、1億円で和解交渉。
1億円和解の根拠は、時価4億円の不動産の競売価格(D社が競売申請したとすると)
4億円×0.9=3.6億円
⇒3.6億円-2.5億円(1番抵当分)=1.1億円
これで、D社からの債務は1億円の圧縮となる。
この1億円の原資はB銀行からの借入。
不動産時価4億円×0.9=3.6億円
⇒3.6億円-2.5億円(現在の借入残)=1.1億円
つまり、銀行としては保全の範囲内である。
合計3.5億円は25年返済。年間1,400万円となる。
キャッシュフロー
1,000万円(当期利益)+600万円(減価償却費)=1,600万円
を返済原資とする。
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