経営相談ワンポイントアドバイス 「再生は可能か」を考えるにあたり、1)現状は再生可能な状態なのか、2)将来業況を回復することができるのか、の2点をクリアにすることが大事である。

■現状

衣料品製造業の経営者からの相談。
明治創業の老舗であるが、赤字が何年も続き、今期決算でも営業赤字を計上する。今期の赤字によって債務超過となってしまう。資金繰りも苦しく、来月金融機関から融資を受けないと支払いができなくなるが、債務超過の企業に金融機関はお金を貸さないと聞いている。

■相談点

上記のような状況に陥り、処々思い悩み、夜眠れない日々を過ごしている。このまま経営を続けるべきか、企業の再生は可能なのか?

■アドバイス

「再生は可能か」を考えるにあたり、1)現状は再生可能な状態なのか、2)将来業況を回復することができるのか、の2点をクリアにすることが大事である。
1)現状の分析
財務資料を精査すると、自社ビルであるため減価償却費が10百万円以上あり、減価償却を行わなかった場合の利益はほぼトントンであった。減価償却費はお金の流出がない費用なので、基本的にお金は回っている。お金が回れば倒産はしない。
また、明治創業の企業なので、土地の含み益がかなりあった。そのため、実態の貸借対照表は債務超過ではなかった。金融機関は、基本的に実態の貸借対照表を重視するので、債務超過を理由に融資を断られる可能性は低い(そもそも債務超過だから絶対借りられないというのはウソ)ことを話し安心していただいた。ただ利益状況などから必ず借りられるというわけではないので、万一の場合は不動産や売掛金を担保にした借入もある。
現状は、決して、再生不可能な状態ではない。

2)業況の回復
業況悪化の主因は、①売れ筋商品の衰退による売上減少、②競争激化による販売単価の低下、③少数多品種化による原価率のアップである。
当社を取り巻く環境や当社の経営資源を分析し、以下のアドバイスを行った。
① 1階空き部屋を利用したファクトリー・アウトレットショップの開設
② 競合が多い市場から少ない市場へのシフト(ゴルフウェア⇒テニスウェア)
③ クラウドファンディングの利用(資金調達も可能なマーケティング手段として)

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