■現状
創業53年になる運送会社の三代目社長様からの相談。
従業員は約20名、トラックのほとんどがウイング10トン車で、新車を購入すると1台1,600万円ぐらいする。従業員は若くて30代、60代は3名在籍している。平均年齢は45~52歳くらい。
業績は前期が最高であった。一時は赤字決算になったこともあったが、ここ数年はたっぷり税金を払っている。
■相談点
1.相続対策をしていない。子供がいないので、三人兄弟の兄の子供を養子にもらいたいと考えている。両親は他界している。相続対策をどうすればいいのか?
2.利益が出ていて税金も払っているのですが、現在2憶円以上銀行からの借入があります。今のままで大丈夫でしょうか?
■アドバイス
1.遺産は奥様と兄弟に行く。兄弟には遺留分がないので、遺言で奥様に全部残すこともできる。相続税は3,600万円の控除なので、個人で財産と土地を持っていると相続税が掛かる。この様なことも含め、経営者はトータルに物を見る視点が必要。法人税は繰越欠損金があれば処理することもできる。奥様が不動産を相続税評価額で相続しても、処分するときには取得価格との損益で見られるため、相当な利益が出てしまい、税金が多大になる。自宅であれば3,000万円までの基礎控除があるが、自宅でない相続については無防備すぎる。精査した方が良い。更に、後継者育成には10年かかる。運送業だけ見ていると環境の変化に対応できないので、早急に後継者を決め育成を始める必要がある。
後継者にするなら、異業種の方が良い。色々な業種を経験させて、経営者として何をすべきかを学ばせる。従業員の中に後継者がいないのであれば、株は自身で持っておいて、経営者だけ契約で採用する方法もある。人間性を見るのに4~5年かかる。売上と利益の目標を決めて、到達しなければ契約を解除する方法もある。後継者に譲ってダメになるよりも、経営者を雇って代表取締役社長にした方が良い。借金を背負わないのであればやりたい人はいる。
2.貸借対照表を見ると2億の借金があるが、1億5,000万円の財産がある。これを差し引くと5,000万円の借金が残る。P/Lで利益は出ているので、利益が出たら借入金を減らすべきである。
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