過剰債務に陥った企業の存続

日本の中小企業の数は400万社を超えています。その大多数は、攻めることに関しては力を発揮しますが、守ることに関しては無力といっても過言ではありません。実際のところ、昨今の経済環境の悪化により、実に多くの中小企業が苦境に立たされています。そして、なかには消滅の道へと進んでしまう会社もすくなくありません。

会社とはいつかは消滅するものですが、消滅の仕方はさまざまです。計画を持って解散、整理を行うならよいのですが、現実には意に反して「倒産」という形で幕を落とさざるを得ない湯合が多いのです。

その原因のひとつに、過剰債務があります。金融機開からの借り入れは、当初は「設備資金などの前向きな目的」が多かったはずですが、不況下では「支払いのため借り入れ」、つまり会社の資金繰りを回すために借り入れをする場合が増えてきます。

資金繰りのために借り入れを繰り返せば、雪だるま式に借り入れ残額が増大していくことは火を見るよりも明らかです。困ったことに、そのことに気付かない経営者が多いのは事実です。読者の先生方も、資金繰りのための借り入れを繰り返し、借入金を増やしてしまった中小企業を目にしたことが一度ならずあると思います。

このような状況に陥った時、会社が借りたお金を返すよう務めるのはもちろん正論です。とはいえ、命に代えてまで返さなければならないかというと、それは間違いであるといわざるをえません。

日本には、借入金を10年で返済できなければ、政府が援助する仕組みがあります。問題は、そのことを知らない中小企業経営者が大半を占めていることです。中小企業庁は、借入金の問題に対処する方法として、「第二会社方式」を推奨しています。今回は第二会社方式のうち、債権回収会社(サービサー)を活用して債務圧縮をする方法をご説明します。

借入金総額を10年以内に返済することが困難と考えられた時、返済の可能性に向かって必死に努力をするのもひとつの方法ですが、新しく組織を組み直し、再出発する方法もあることをご理解いただきたいと思います。

第二会社方式とサービサー

第二会社方式とは、過剰な債務を抱える企業のうち、収益性のある事業を新設会社や関連会社(第二会社)に承継させ、債務を抱える元の会社を清算する手法です。元の会社を清算する方法のひとつに、サービサーの活用があります。

サービサーとは債権の管理回収を行う会社のことですが、具体的にはどのような会社なのでしょうか。

従来、債権回収業務は弁護士だけにしか許されていませんでしたが、民間企業が債権回収業務を行う目的で、弁護士法に例外規定を設ける改正が1998年に可決成立しました。

法務大臣によるサービサーの許可要件としては、

(1) 資本金5億円以上の株式会杜であること

(2) 常務に従事する取締役の1名以上に弁護士が含まれていること

(3) 暴力団員などの関与がないこと

などが規定されています。

取締役である弁護士の適格性については、法務大臣が日本弁護士連合会の意見を聴取することになっており、適格な弁護士が取締役として、内部からサービサーの業務全般の適正を監督する仕組みになっています。

暴力団員などの関与の有無については、法務大臣が暴力団情報を有している警察庁長官に対して意見聴取することになっており、暴力団員などの排除が徹底されています(図を参照)。

サービサーは、返済が滞っている債権を管理・回収する専門会社で、銀行・リース会社・クレジット会社などから債権を買い取り、債務者からその回収を行います。また、担保物件を処分して回収を図ったりもします。

金融機関にとっては、サービサーに債権を売却すれば、不良債権を継続して抱え込む必要がなくなり、最終処分できるという利点があります。現在、法務大臣より許可されているサービサーは117社です。

サービサーの活用例

第二会社方式について解説する前に、サービサーを活用した基本的な事業再生手法についてご説明します

(1)債務会社の返済延滞が始まる。
(2)金融機関と債務会杜との返済交渉が決裂する。

―6ヶ月後―

(3)金融機関が債権をサービサーへ売却する。

―6ヶ月後―

(4)サービサーから債務会社に返済要求がある。

―6ヶ月後―

(5)サービサーと債務会社が債権買い取り交渉を行う。

ここでのポイントは、金融機関が保有する債権(有担保債権・無担保債権)は、サービサーへ圧縮して譲渡されることです。

債務会社は債権回収会杜と交渉して、債権額の1%~100%で買い取ります。交渉次第では、債務を大幅に減らすことが可能です。

第二会社方式におけるサービサーの活用方法

債権者・債務者・保証人・サービサーの関係について説明させていただきます。

(1) A社はB銀行に5億円の借入残がある。
(2) A社はこのままではB銀行に対し、5億円の返済不能に陥る可能性が高い。そこで、A社を解散してC社へ事業譲渡し、売却金をB銀行へ返済するとともに、残金をサービサーへ債権譲渡してもらうように依頼する。
(3) A社はC社(新設会社または関連会社でも可)に事業譲渡をする。
(4) A社はC社から受け取った事業譲渡代金をB銀行に返済する。
(5) B銀行は貸し付け残金をA社に請求する。
(6) B銀行は貸し付け残金を保証人に請求する。
(7) B銀行は、A社が解散し、なおかつ保証人に他の資産がないため、貸付債権をサービサーに極めて低額で売却する。
(8) B銀行から貸付債権を買い取ったサービサーは保証人に返済を求める。
(9) 保証人は一部金領の返済による和解をして、残金は放棄依頼をする。 なお、B銀行のA社貸付金のうち、保証協会付融資の部分には、この手法を使用できませんので注意が必要です。

この一連の流れによって、B銀行は1億円の返済を受け、残金はサービサーに売却できます。そして、貸借対照表からA社を外して不良債権処理ができるのです。

一方、A社は借入金5億円の状態から解散または清算されます。C社は借入金1億円となり、金融機関から見る正常先として経営をスタートできます。保証人は極めて低額でサービサーと和解ができ、残額は放棄されます(免除益は税務署と交渉して実質免除してもらいます)。

第二会社方式は中小企業庁が勧めているものであり、現在最も使われている手法です。多数の中小企業に接する税理士の先生方にも、念頭に置いていただければ幸いです。

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