連帯保証人、据置き(リスケ)交渉、セール&リースバックなど

今まで、事業再生と収益向上の利益を出すための経営手法という観点から説明をしてまいりました。これからは、机上の空論ではなく、日々我々が中小企業の借入金対策および収益構造改革に取り組んでいる現場からの生のレポートをお届けします。

よく内容を読んで頂ければご理解いただけますが、その手法は特別ではなく、経営手法をしっかりと勉強して、強い改善の意志さえあれば、誰にでも出来ることなのです。

今回は、M木材株式会社の事業再生事例をご紹介します。

相談内容

・会社が立ち直っていけるか、それを判断したい
・自宅をなんとか守りたい。自宅と営業所の 不動産を競売から回避できるか判断したい
・息子さんが借入れをしている銀行2行の連帯保証人になっている。その金額1.2億円の連帯保証をはずせないか

会社概要、所見分析

・業種 木材の加工・仕入販売業、戸建住宅の受注販売
・立地 関東地区
・従業員 杜長他8名
・売上高平成21年7月期 320百万円 (経常利益 ▲24百万円)
木材商品売上 250百万円(78%)
工事売上 70百万円(22%)
・資本金 20百万円
・取引先 工務店、個人営業の大工さん等、 地域密着の営業を展開
・社長を含めて8人の零細企業・現社長は二代目、先代が会杜を大きくした。現社長は守りの姿勢
・過大な借入金(約4億)がある。バブルの頃の不動産への事業拡大が原因
・住宅建設環境の悪化により売上の急激な減少に見舞われ、資金繰りが悪化
・売掛金の未回収が約5千万円あるが、回収不能が多くある

事業パートナーの取り組み

1.相談・調査の実施
・最初は税理士事務所の紹介で3時間の個別相談を行い、再生の概略フレームを作成して提示
・その後詳細な調査の依頼があり、約1ヵ月、 弊社メンバー3人で「事業再生調査報告書」を作成する
・その後、報告書に従いコンサルを開始

2.財務リストラの実施
・銀行5行に対する元金支払いの一年間の据置き(リスケ)交渉を指導し、当面の費金繰りの改善を図る
・資金繰りの現状を精査し、固定費の圧縮 (ムダをそぎ落とす)を実施。具体的には

(a) 役員の生命保険の変更
(b) 不用な車両の売却等を行う
・固定資産の精査を行い不用資産の削減、圧縮を行う。
具体的には

(a) ゴルフ会員権の売却(売却価格は安いが、今後も値上がりは期待できない)
(b) 不用な借地の整理(借地の洗い出しを行い整理・返却を行う)
(c) 会杜経営に貢献していない不動産の洗い出しを行い売却を進める
(d) 毎月の正確な「資金繰り表」の作成を行い、資金管理の徹底を図る

・未回収の売掛金回収の作業を始める。
具体的には

(a) 売掛金の金額を相手先に確定させる
(b) 支払の督促
(c) 具体的回収(債権譲渡、代物弁済等による回収、債権回収会杜の活用による回 収)
(d) それと並行して売掛金管理(事前管理)による今後の未回収の発生防止を図る

・仕入の支払サイトを伸ばせないかアクションを起こす

3.業務リストラの実施
・従業員へのヒアリングを実施、
その結果、

(a) 危機感が薄い
(b) 杜員間のコミュニケーションができていない
(c) 得意先である工務店とのつながりが希薄等の問題点が浮き彫りになった

・ヒアリングによる問題点の把握により、経営者と従業員の情報の共有、現状の正確な認識を持ってもらうため、「全員参加の営業会議」を定期的に開催
・「営業会議」では毎月の売上と仕入れをグラフにまとめて提示し、適正な仕入れを理解してもらう
・過剰在庫の処分を行うため「在庫処分市」を開催し、経営者・従莱員に過剰在庫の存在を理解してもらう

4.自宅の保全と息子さんの連帯保証
・自宅の保全には親族(または善意ある第三者)に住宅ローンを組んでもらい、金融機関の協力を取り付け、任意売却により、売却後も賃貸しとして住み続けるセール&リースバックを提案
・将来の社長となる息子さんの連帯保証については、退社して他社へ勤め、その間に借入金を返済し、残額を5千万円まで減額して、個人民事再生(給与所得再生)で最低弁済額を支払っていくスキームを提案。

費用は73万円(申請手数料3万円、予納金20万円、弁謹士費用50万円)。手続き期間は1年で、その後3~5年かけて最低弁済額を支払っていく

弊社の支援による感情の移り変わり

1.個別相談時(最初の頃)

・社長は、今後の経営に自信が無く、会社をたたまざるを得ないことを覚悟していた。しかし先代が大きくした会社を、何とか守りたいとの思いが強かった
・奥さんは経理をすべて担当し、銀行交渉もひとりで行っていた。そのため胃の痛む毎日が続き、早くこの痛みから解放されたいと望んでいた
・息子さんは「材木屋」のこの仕事が好きで何とか守り、続けたいと思っていたが、その方策が見当たらず苦慮していた

2.稼働開始陦(約1ヵ月後の調査終了後)

・社長は、「事業再生調査報告書」により今までの経営のやり方を振り返り、今後の具体的事業再生の方向性が見え、なんとかやって行こうという自信が感じられた
・奥さんは銀行交渉から解放され、経理の相談相手が出来たため、「笑顔が戻ってきた」と言われるようになった
・息子さんは、具体的事業再生の方向性が見え、将来も苦労は続くが、先代が大きくしたこの会社を自分が引き継ぐ意思を固められた
・従業員は、ヒアリングにより自分たちの考えが経営者に分かってもらえたことを理解したが、今後どのようになるのか不安を抱えていた

3.稼働半年経過後

・社長は、長引く不景気で住宅市場の回復は程遼い状況であるが、先代からの誠実な人柄から前年度並みの受注は確保できている。さらに仕入の見直し、在庫の圧縮で収益は好転して来た。そのため、今後の経営に自信を持たれ経営に取組んでおられる
・奥さんは、資金繰りの厳しさは続き、毎月の資金の手当てに苦慮されている。しかし、収益の改善は徐々に資金繰りの改善につながり、何よりも事業パートナーが相談相手となっていることを心強く感じてくださっている
・息子さんは、安心して営業にまい進している。以前はひとりで営業の企画・立案を行ってきたが、今は事業パートナーと営業の企画・立案を行い、外部のアイデアを吸収し、力強く活動されている
・従業員は会社の現状を「営業会議」で知ることが出来、経営陣とのコミュニケーションも良くなった。また経営状況が序々に良くなってきている事を実感し、以前より明るくなって来られた

今後の取組み

・多額の銀行借り入れがあり、本業で業績を回復させても銀行への返済に50年以上が必要。債務圧縮が必要
・債務圧縮を行うにも、そのため多額の費用が必要となる。本業での収益改善でその費用の確保を図る
・債務圧縮を行っても二次破綻の懸念があるため、事業リストラにより本業での収益改善の対策を講じる
・売上高の向上および利益増額をはかり、在庫仕入管理の徹底をはかるため、経営計画の立案を強力に推し進める

事業再生の現場から

1.中小企業は社長がすべて

事業再生の現場で日々感ずることは、良し悪しは別にして、中小企業は社長がすべてという実感です。ですから、社長との信頼関係が構築できるかどうかが、事業再生がうまく進むか、進まないかの分かれ目になります。
事業再生の現場では最初はトラブルの連続が常です。そんな状況を社長と協力して乗り越えて行く過程で、お互いの信頼関係が出来てくるのです。

2.会社は自分ではなかなか変われない

どんな会社にも今までの経営の流れがあります。仕入先とのしがらみなどが一例です。受注が減少し経営が急速に悪化し、資金繰りに困った時はすぐに、仕入代金の支払条件の変更をお願いすべきです。

しかしそれがなかなか出来ないのが現実で、そのような時こそ事業再生に取り組む外部の人間を活用すべきです。会社は悪くなっても、自分ではなかなか対策を打てないことが多々見られます。事業再生は時間との勝負のことも多々あります。

事業再生を進め、会社を良くするには社長のやる気がまず必要です。しかも従業員の協力が不可欠です。そのためには従業員への情報公開が必要で、いかにその仕組みを作っていくかがポイントになると実感しています。

いかがでしたでしょうか?

支援する側と支援される側が力を合わせれば、不可能が可能になるということです。

『お金がなくても、会社は潰れない。諦めるから会社は潰れるんだ!』ということを顧問先に理解させて頂くことを切望いたします。

【無料受付中】お悩み相談はメール・電話でお気軽にどうぞ

経営者の皆様を救うために私たち専門家がおります。
現在のご状況とどのようなことでお悩みになっているかを教えてください。

経営者様、税理士様からのご相談をお待ちしています。

お独りでむ必要はありません。まずはお気軽にご相談ください。